社会人2年目。 スランプも脱しつつある。
新しい課の先輩たちともうまくしゃべれるようになってきた。
けれど、あちこち振られたおかげで誰につけばいいかすっかり見失った。
一番最初の課長はすごい人だった。
仕事の濃さ、クオリィティの高さとその取り組み方は人並み以上。
おかげで今この街にはいない。
「お前をこっちに呼ぶか、俺が戻って一緒に仕事がしたい」
そのときの次長。
セクハラはすごいけれど、支社全体の今後について誰よりも考えている。
今回起こった変革の一番の功労者。次期支社長に、と課長以下からの声が多い。
「いつか大きい仕事をやるために今は我慢。俺の大事な部下だ」
次の課長とはまったく合わなかった。
嫌で嫌で、辛くて辛くて。
けれど、新規の取り込みに対する執着心と利益率についての考え方は参考になった。
「スポンサー引き継ぐつもりから、しっかりやってくれよ」
そのときの次長。
明るさや人柄でお客を捕まえるが、話はまったく聞いていない、大雑把な人。
ゴマすりが特技だから、支社長には気に入られているけれど。
今の次長は、この街で伝説になっているスーパーアドマン。
一緒に仕事できるなんて夢のよう。この課になれて嬉しかった。
冷静な分析で、私の性格、今後進むべき道を教えてくれた。
「今のまま、この街でじっと我慢してこなして、
一通りできるようになってから、好きなところにいきなさい。」
今の課長とはあまり接点がないけれど、
かわりに同じ課のトップ営業マンさんと最近よく話す。
常に儲かる業種を嗅ぎ分け、金の切れ目は縁の切れ目と豪語。
その営業手腕は真似はできなくとも、学ばせてもらいたい。。
「伝えることはできる。それをやるかどうか、できるかどうかは自分次第だ。」
プランナーでありディレクターの上司。
人を見透かす能力は一流。あたしの本性すっかりばれてます。
「なんとかうまく、営業から製作にひっぱるから。クリエイティブ向いてるよ。」
入社からずっと同行させてもらっている上司。
「ザ・日本の営業マン」謝る事が大得意、かわし方こなしかたは抜群。
多業種多メディアでの仕事を持つマルチな人。
気持ちの波が激しくてあたりはきついけど気にかけてくれる。
「オマエは可愛い妹だ。女支社長にするために教え込むから、ついて来い。」
社内政治や派閥なんて、雲の上の出来事だって思ってた。。うちの会社にまさか、ねぇって。
さて、誰と進もう、どこへ進もう。
浮き沈みの激しいこの業界、明日は誰にもわからない。
それぞれいいところがあって、みんな少しずつ好きなのだ。選ぶなんてムリ。
行き先だって決まってないのに、分かれ道がありすぎる。